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保険 帝王切開

帝王切開の費用、自然分娩との違い、帝王切開になる確率、健康保険と民間の医療保険の適用範囲について

コラムイメージ12

妊娠・出産という人生の一大イベントは自分だけでなく周囲の人にとっても大変喜ばしい大イベントだと思いますが、その反面、出産にまつわる費用がとても気になるところです。
その中でも近年増加傾向にある「帝王切開」による出産は、手術が必要となったり、入院期間が自然分娩より長くなったりする傾向もあり、とかく医療費が高額になりがちな印象があります。
ここではそんな想定外の出費に対する不安を少しでも払拭するために、自然分娩と帝王切開、それぞれどのくらいの医療費がかかるのか、それに備えて事前に準備出来る事には何があるのか、あらかじめ知っておいたほうが良いと思われる公的保障のこと、民間の医療保険のことなどについて書きたいと思います。

1.自然分娩と帝王切開

1-1自然分娩

自然分娩は経腟分娩のひとつです。経腟分娩とは母体の産道から腟を経て、赤ちゃんが生まれる分娩方法です。自然分娩の定義は、病院や産院によって異なる場合がありますが、ここでは経腟分娩のなかで、医療処置が介入しないものを自然分娩としたいと思います。

1-2帝王切開

帝王切開は、麻酔を使用し母体のお腹を切開する手術によって赤ちゃんを取り出す分娩方法です。帝王切開の時に使用する麻酔は、腰椎麻酔と硬膜外麻酔の2種類があり、これら2種類の麻酔を組み合わせる場合と、腰椎麻酔のみ使用される場合がありますが、麻酔の効き方や手術状況によって全身麻酔をするケースもみられます。

1-3費用の違いについて

・自然分娩
入院期間は、5~7日間のケースがほとんどで、初産婦は経産婦では差が出ることがあります。経産婦の多くは4~6日間の入院期間のようで初産婦と比較すると若干短めです。費用は病院または産院によって大きく差がありますが、平均すると、およそ50~60万円のことが多く、さらに高額になることもあるようです。自然分娩では基本的に健康保険や国民健康保険が使えず民間の医療保険も給付金が出ないので、費用に開きが出やすい傾向があるようです。

正常分娩分の平均的な出産費用について(2017年度)

項目 平均値
入院日数 6日
入院料 112,726円
室料差額 16,580円
分娩料 254,180円
新生児管理保育料 50,621円
検査・薬剤料 13,124円
処置・手当料 14,503円
産科医療補償制度 15,881円
その他 28,085円
妊婦合計負担額 505,759円

公益社団法人 国民健康保険中央会の資料より 病院、診療所、助産所の合計

・帝王切開
入院は一般的には平均8日間程度とされていますが、母親の体調が回復しない場合は入院期間が術後2週間以上になることもあるようです。また、赤ちゃんに強い黄疸が出ているときなどは母親だけ先に退院することもあります。費用は病院によっても異なりますので一概には言えませんが、一般的には自然分娩と比較するとおおよそ20万円ほど余分にかかると言われています。

・出産費用には意外な上乗せがある
朝9時~17時以外の時間帯での出産の場合、出産方法が何であれ人件費として時間外手当が上乗せされ、出産費用が1割増しくらいになる医療機関が多いようです。また初産婦は経産婦とくらべて費用が数万円上乗せされる医療機関もあるようです。

2.帝王切開の確率

2-1帝王切開になる確率

厚生労働省の平成26年の【医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況】によりますと

一般病院の分娩  46,451件のうち11,543件(24.8%)

一般診療所の分娩 38,765件のうち 5,254件(13.6%)

合計       85,216件のうち16,797件(19.7%)

が帝王切開での分娩になっています。つまりおおよそ5人に1人の割合です。

このように帝王切開は既にレアケースではなくなっており、むしろ一般的な出産方法になりつつあります。
尚、帝王切開にはあらかじめ予定を定めて行われる予定帝王切開と予期せぬトラブル発生時に行われる緊急帝王切開があります。

2-2予定(選択)帝王切開とは

逆子や巨大児、双子、前置胎盤など前もって経腟分娩が難しいと判断された場合におこなわれます。
選択帝王切開ともいわれ、36週までの妊婦検診で決められ、37~38週に実施されることが一般的なようです。

2-3緊急帝王切開とは

胎児機能不全や常位胎盤早期剥離など、母子に予期せぬトラブルが起こった場合におこなわれます。
厚生労働省の2011年の社会医療診療行為別統計によりますと帝王切開全体の中に占める緊急帝王切開の割合は40%となっています。

このように予定・緊急にかかわらず、帝王切開の割合が増えている背景には母子のリスク軽減があります。医療技術が進歩して「この状態なら帝王切開の方が安全に出産できる。」と判断する医師が増えたためですが、実は、リスクのある妊娠や、危険とされる兆候が出た時に、このままで大丈夫なのかの判断がつかないため、予防的に帝王切開が行われているケースもあるようです。

3.帝王切開は健康保険(公的医療保険)が適用になる

3-1分娩と健康保険

このように出産には大きな出費が必要であることを理解していただけたかと思いますが、実はすべてあなた自身で負担する必要があるのかと言えばそうではありません。なぜなら、出産には公的医療保険から給付金や一時金が受けられるからです。それを順番に説明していきます。

<自然分娩>
自然分娩はそもそも病気ではないので健康保険(公的医療保険)は適用されません。高額療養費も妊娠・出産の自然分娩の医療費には利用できません。※
※陣痛促進剤や麻酔を使用した場合は適用されるケースもあるようです。

<帝王切開>
健康保険が適用されるため3割負担になります。但し健康保険が適用されるのは手術や薬、処置、検査にかかる費用で、入院中の食事や個室利用等のベッドの差額費用はあくまで自己負担です。
帝王切開の費用は一般的には40~44万といわれており、病院や産院によってはさらに高額になることもあるようですが、高額療養費制度が利用可能ですので一定の上限を超えた場合はこの制度の対象となります。

3-2出産育児一時金は自然分娩・帝王切開どちらでも支給される

自然分娩・帝王切開、どちらのケースでも支給条件を満たしていれば、子どもひとりにつき42万円支給されます。
尚、支給要件は被保険者または家族が、妊娠4カ月以上で出産をしたこととされています。妊娠4カ月を超えていれば早産の場合なども対象となります。

3-3高額療養費制度

3-1でも書きました通り自然分娩の場合は対象外ですが、帝王切開の場合は医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」の対象となります。帝王切開や切迫早産のように事前に入院がわかっている場合や、通院で高額な医療費が予想される場合は、「限度額適用認定証」を健保組合もしくは協会けんぽもしくはお住まいの市区町村役場に申請しましょう。高額療養費を健保組合または国保組合で立て替えてくれます。

<自己負担の限度額>

課税対象額区分 自己負担限度額(月額)
910万円超 252,600円+総医療費(10割)が842,000円を超えた場合、超過分の1%
600万円超 910万円以下 167,400円+総医療費(10割)が558,000円を超えた場合、超過分の1%
210万円超 600万円以下 80,100円+総医療費(10割)が267,000円を超えた場合、超過分の1%
210万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

3-4税金の還付を受けられる場合も

確定申告や還付申告では、前年の出産費用にかかった額も医療費控除の対象となる場合があります。かかった出産費用から出産育児一時金、出産手当金、高額療養費などの公的手当、(加入していれば)医療保険の給付金を差し引き、自己負担分がわかるように領収書や健康保険の明細を必ずとっておきましょう。
また、出産のために使った電車・バス代・タクシーなどの交通費、入院費用、妊婦健診の自己負担分などは医療費控除の対象となります。また、自己負担の出産費用とご家族の他の医療費と合計して10万円を超える医療費を自己負担した場合(所得200万円以下だと所得の5%)は、確定申告で税金が還付される場合もあります。

4.帝王切開は、民間の医療保険も適用になる。

4-1自然分娩は支給対象外

民間の医療保険は一般的に病気やケガに起因するものを給付金の支給対象としています。先にも書きましたが自然分娩は病気ではないため、給付金等の支給対象外になります。

4-2帝王切開は給付金対象ではあるが・・・

帝王切開の場合は「異常分娩」と見なされ、基本的には入院・手術の給付金等の支給対象となります。
但し、加入している医療保険に部位不担保等がついていない場合に限ります。
一部の例外を除けば多くの民間の医療保険では、妊娠が発覚した後に申込みをした場合や、過去に子宮卵巣卵管等に関する病気の診断を受けた方が契約の申込みをすると、多くの場合、異常妊娠・異常分娩や子宮卵巣卵管等に関する病気が一定期間不担保となり、給付金の対象外となることがあります。
不担保となる期間は年齢にもよりますが、若い方ですと5年間という事もあるようです。

4-32回目の帝王切開

過去の出産時に帝王切開となった経験がある方が民間の医療保険に申し込みをした場合も、異常妊娠・異常分娩や子宮卵巣卵管等に関する病気が一定期間不担保になることがほとんどです。
厳しいようですが、基本的には民間の医療保険での保障は受けられない可能性が高いと考えた方が良いでしょう。
これは過去に帝王切開による出産をされた方は、あとの出産では子宮が破裂する恐れがあるため、母児の安全のために帝王切開することが極めて多いからです。

つまり、帝王切開となった際の保障が受けられる民間の医療保険に加入したいというのであれば、子宮卵巣卵管等の病歴が無く、健康で、かつ妊娠が発覚する前に医療保険の申込みをすることがポイントであるということが言えます。

ただ、そもそもですが民間の医療保険は自然分娩では使えません。また帝王切開なら健康保険が適用となるのですから、出産のことだけを考えて民間の医療保険に加入するということ自体、実はもう少し慎重になるべきではないでしょうか。

まとめ

これまで書きましたように、帝王切開は一見すると自然分娩より費用がかさみそうな印象がありますが、実は健康保険が使えることによって基本的な治療費は3割負担で済み、かつ高額療養費制度(+限度額適用認定証の申請も忘れずに)も使えます。それでも費用がかさんだ場合は、それが証明できるように領収書や明細をきちんとわかるように保管しておけば翌年に税の還付が受けられる可能性もあります。
それらを総合的にみると、他の病気の治療と比較して極端に帝王切開だけが費用がかさむという訳ではないということがお分かりになるかと思います。

この記事を読みながら出産に備えて慌てて民間の医療保険に加入しようと考えている方は、ぜひ慎重になってお考いただければと思います。
世の中には帝王切開以外にも、もっと多額の治療費用がかかる病気やケガがたくさんあります。ガン、三大疾病、生活習慣病、先進医療、自由診療e.t.c.それらの病気や治療のことを出来るだけ知った上で総合的に判断して医療保険を選択し、その上で加入、その結果として後に「出産時の帝王切開にも使えました!」というのでしたら何の問題もないと思いますが、出産時のことだけをターゲットにして慌てて医療保険選びをすると事の本質を見失う恐れがあります。

そもそも民間の医療保険に自ら保険料を負担して加入するということの本質とは、将来発生するかもしれない健康保険等の公的医療保障だけでは対応しきれない病気などの高額な治療費等の負担に備えるために、自助努力をするということではないでしょうか。

そう考えますと、健康保険が適用となり、高額療養費制度も使え、出産育児一時金も支給される帝王切開にターゲットを絞った医療保険選びはナンセンスと言わざるを得ないのでは?とつい思ってしまうのです。

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