コラム

病気・ケガ

2019-08-26

差額ベッド代とは

入院の際、通常の治療費のほかに、差額ベッド代という費用が発生することがあることをご存じでしょうか。

実は入院費を左右するといっても過言ではないのがこの「差額ベッド代」です。

通常の医療費は健康保険によりほとんどの方が3割負担となり、さらに高額療養費制度を使えば一定の割合で医療費が払い戻されます。

それに対してこの差額ベッド代は通常健康保険の対象とならないので全額自己負担しなければならず、入院費の大部分を占めるケースが少なからずあります。

では、差額ベッド代はどんな時に発生するのでしょうか?

また、発生した場合の費用はどれくらいになるのでしょうか?

そもそも差額ベッド代とは何の「差額」なのでしょうか?

ここではこの差額ベッド代について解説していきたいと思います。

入院費の負担は差額ベッド代がかかるかによって大きく変わってくるので、医療保険を検討するときは必ず知っておいていただきたい知識のひとつになります。

ぜひ最後までお読みいただき、皆様の保険選びの一助となれば幸いに存じます。

1.差額ベッド代とは

差額ベッド代とは、世間で一般的にいわれている、いわゆる個室や少人数収容の病室に入院した場合に健康保険適用の範囲外で患者に請求される病室費用のことで、正式には「差額室料」といいます。

そして、差額ベッド代がかかる病室のことを正式には「特別療養環境室」といいます。

これは入院環境の向上を目的に作られた特別な部屋のという意味です。

具体的には、差額ベッド代がかかる病室は面積や設備環境など下記の用件を満たしている必要があります。

  • ・病室のベッド数が4床以下であること
  • ・病室の面積が1人当たり6.4平方メートル以上であること
  • ・病床のプライバシーを確保するための設備があること
  • ・個人用の「私物の収納」、「照明」、「小机等及び椅子」の設備があること

差額ベッド代には健康保険は適用されず全額患者の自己負担となります。

差額ベッド代は基本的に1日単位で課金されるものですので入院期間の長短にもよりますが、差額ベッドを利用するかしないかで入院費が大きく変わることになります。

2.差額ベッド代が発生するとき

では、差額ベッド代は「特別療養環境室」を使用すれば必ず発生するのか?といえば、実は必ずしもそうではありません。

ではどのような場合に発生するのかについて説明していきます。

主なものとしては、以下のものが挙げられます。

2-1 患者やご家族が自ら希望して特別療養環境室へ入院する場合

患者の中には、静かな環境を希望する場合や、プライバシーの問題から、自ら「個室にしたい」と差額ベッド代が必要な特別療養環境室を希望することがあります。このように医師の指示ではなく、患者自らが特別療養環境室の使用を希望した場合には差額ベッド代を払う必要があります。

2-2 病院から提示された同意書に署名をした場合

特別療養環境室を利用するにあたり、病院から提示される同意書に署名をしてしまうと、結果として本人の希望で利用していると見なされてしまいます。その場合、たとえ治療の必要性から医師の指示により特別療養環境室へ入院したのだとしても、差額ベッド料を支払わなければならないことがあります。

3.差額ベッド代が発生しない場合

では次に差額ベッド代が発生しない場合とは、どのような場合であるかをご説明します。

3-1 「治療上の必要性」から特別療養環境室へ入院するような場合

「治療上の必要」により特別療養環境室に入院する場合には、基本的に差額ベッド代は発生しません。

例えば以下のような場合です。

  • 救急患者・術後患者であるため症状が重く安静が求められる患者
  • 常時監視が必要であり適時適切な処置が求められる患者
  • 免疫力が低下し感染症にかかるリスクが高い患者
  • 集中治療の実施が必要な患者
  • 著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある末期患者
  • 後天性免疫不全症候群(エイズ)に感染している患者
  • クロイツフェルト・ヤコブ病の患者

このように治療上の必要性から特別医療環境室へ入院しているとみなされる場合は、差額ベッド代を支払う必要はありません。但し、患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合はこの限りではありません。極端な例は、ホテルのスイートルームのような病室を患者自らが希望したような場合です。

3-2 「病棟管理の必要性」から特別療養環境室へ入院する場合

病院側が病棟管理の必要性から患者を特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合にも、差額ベッド代を支払う必要はありません。

例えば、感染力の強いウイルスにかかった患者が、ほかの患者への感染を防ぐために特別療養環境室への入院が求められることがあります。

このような場合は、患者自らの希望によるものではないので差額ベッド代を払う必要はありません。

3-3 同意書による確認に不備がある場合

特別療養環境室への入院に関し、病院が同意書による同意の確認を患者へ行っていない場合にも差額ベッド代を払う必要はありません。これは同意書の内容に不備がある場合も含まれます。

3-4 実際には請求されるケースも少なからずあるらしい

以上のように、厚生労働省は「自ら希望していない場合の差額ベッド代は払わなくて良い」といってくれているのですが、実際には病院によっては本来患者が支払う必要がない差額ベッド代を請求してくることが少なからずあるようです。

この件に関しては、結果的に病院や医師や看護師さんとトラブルになってしまうケースもあるようです。

これはとても大きな問題です。なぜなら私たちが「病院の都合で個室に入れられたのだから、差額ベッド代は支払う必要はないのではないですか?」という正当な主張をしただけで、病院や看護師さんからクレーマー扱いされ、入院生活に支障が生じてしまう可能性があるからです。

このようなトラブルを防ぐためにも、病院側からの事前の説明をしっかり聞き、わからない点は必ず確認するようにしましょう。決して内容を確認することなく安易に同意書にサインすることがないようにしましょう。

4.差額ベッド代の平均費用

差額ベッド代は、病院によってかなり大きなばらつきがあります。

高いところでは1日の金額が30万円を超えるようなところさえあります。

厚生労働省が発表している「主な選定療養に係る報告状況」という報告書によりますと、平成27年7月1日時点の差額ベッド代の平均額(1日あたり)は以下の通りです。

  • 1人部屋・・・7,828円
  • 2人部屋・・・3,108円
  • 3人部屋・・・2,863円
  • 4人部屋・・・2,414円

単純に計算すると、例えば、個室(1人部屋)に2週間入院した場合は

7,828円×14日=109,592円

治療費以外でこの金額が全額自己負担となります。

5.差額ベッド代の注意点

5-1 差額ベッド代は拒否できる場合があるが・・・

3で書きましたように、制度上は以下のような場合は拒否できます。

  • 「治療上の必要性」から特別療養環境室へ入院するような場合
  • 「病棟管理の必要性」から特別療養環境室へ入院する場合
  • 同意書による確認に不備がある場合

しかしながら、現実には同意書へのサインや支払いを拒否したりするのは難しいかもしれません。

想像してみてください。例えばですが、もしも緊急入院することになった際、病院に大部屋の空きがないため個室をすすめられた場合です。同意書のサインを拒否したために、「では他の病院をあたっていただけますか」と言われてしまうかもしれません。

3-4でも書きましたが、同意を拒むことによって病院や医師、看護師との関係が悪化してしまうことも考えられます。このような関係で治療を受けるのは精神的にも肉体的にもつらいですよね。

しかしながら、現実に患者さんは「治療をしてもらう」立場にあるわけですので、同意しなかったり、拒否したりするということができない状況に気が付くと追い込まれていくことがあるのです。

5-2 差額ベッド代は保険対象外

既に何度も書きましたが、差額ベッド代は、入院時の食事代・生活用品代などと同じく健康保険でまかなうことができません。すなわち、差額ベッド代は、患者の自己負担となります。

それだけでなく、差額ベッド代は医療保険控除の対象にもなりません。

通常の医療費の場合、本人あるいは家族の医療費が10万円を越えたときには、所得税を計算する際、医療控除の制度が適用でき、医療費で10万円を越えた分が所得から差し引かれます。

しかし、差額ベッド代にはこのような医療保険控除の制度が適用できないのです。

まとめ

以上のように、治療費以上に差額ベッド代の請求で入院費が高額となってしまうことがあります。
また、プライバシーの保護やより良い医療環境を求めて特別療養環境室に入りたいと思っても、差額ベッド代の高額の費用のために、それを諦めなければならないこともあります。特に長期の入院になればなるほど人はプライバシーを欲するものです。
医療保険を選択する際には、健康保険の対象となる医療費だけでなく、通常健康保険の対象とならない差額ベッド代も考慮に入れて入院にかかる負担を計算し、検討する必要があるといえるのではないでしょうか。

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